浄化の言葉

 

   我々は病気の事を浄化というが、之程いい言葉はあるまいと思う。それも嘘ではなく本当であるからである。第一言葉から受ける感じは頗る気持ちがいいが、之に反し病とか、病気とか言う言葉位気持ちの悪いものはあるまい。

  併しよく考えてみると此の言葉も満更間違ってはいないと思う。と言うのは、病は結構なものである事を知らないから余計な心配をする。つまり気を病むものだからであろう。それに就て、よく話し合っているのを聴くと 「お蔭でやっと浄化が起りました。」とか「浄化のお蔭で近頃は大分身体の具合がよくなりました。」とか「浄化は有難いものですね」なども実に快い言葉である。

  今一つは病院という名称である。之も私は非常に悪いと思うが、実際から言えば此の名前も満更間違ってはいないと思う。何故なれば、治らないで病み続ける処であるからであろう。若し吾々の方でそういうものを造って名を付ければ、浄院という名が合っていよう。併し人間が薬を用いなくなると自宅で簡単に治る軽い病気ばかりになるからそんなものを造る必要もなくなる訳である。

 


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