医学の革命

 

   昔から革命という事は誰も知る如く、政治革命とか社会革命とか言って、間違った政治や間違った思想を是正し、よりよい社会たらしめようとする運動であるが、それ等は或一国、或一民族に限られたのが多かった。処が現在に至っては漸次大規模となり、ソ連が中心となって活動しつつある共産革命も、それを防止せんとする米国を中心とする民主革命も重大問題である。  

  処が吾等が意図し、実行しつつある処は、病なき世界を造るという人類救済の根本的意義を有する文化革命である。然し此の事ほど重大問題はあるまい。恐らく人類史上嘗て夢想だもしなかった大事業であろう。原子爆弾で一挙に数哩に及ぶ建造物も生物も殱滅する事も夢にも思はなかった大発見であり、之を平和的に活用するとすれば如何に人類に稗益するかは、想像も出来得ないであろう。

  然し乍ら人類から病を絶無にするという、それに此べれば其の大小の差異は自ら明らかであろう。勿論病を此の地上から追放するという事は何よりも先ず病なるものが何故発生し存在するかの原因を徹底的に知る事である。それを知ると共に病原を絶滅すべき方法を発見する事で此の二つが其の根本であらねばならない。

  然るに、現代医学は進歩せりといい、一般は進歩せりと思い切っているが、何ぞ知らん進歩処か実は低迷状態に過ぎないのである。彼の紀元四百年前医聖とされていたヒポクラテス以来二千有余年を経て、今以て感冒の原因すら発見出来ないのであるから、それ以上をいう必要はあるまい。此の事だけにみても現代医学の進歩を肯定する事は出来ないであろう。故に今後何世紀経ると雖も病なき世界などは痴人の夢以外何物でもない事は明らかである。

  吾等は別に医学に対し非難せんが為の非難ではない。ただ事実を事実とし誤りを誤りとし、何物にも捉えられず、公正なる観点に立って批判するのである。吾等が唱えるのは理論でも仮定説でもない事実そのままを言うのであるから、眞理そのものであるといえよう。

 


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