抑々、病気を最も判り易くいえば、病気とは体内にある不純物即ち有毒物を種々の形によって排泄さるるその過程をいうのである。従って此の世の中に病気程結構なものは無いので、もし人間から病気を無くすとすれば、人間は健康を保ち得ず、到底長命などは覚束かない虚弱者となるのである。之が千古不滅の眞理であって、之を基本として成った医学こそ真の医学である。故に若し此の眞理に外れた如何なる医術と雖も、それは真の医術とはいえない擬似医術であるから、到底病気は治し得ないのである。

  そうして有毒物とは、彼の喀痰、鼻汁、喀血、出血等の汚物や膿汁、下痢便、濁尿、汗、唾液、目脂、涙、耳ダレ、発疹、皮膚の紅潮、同斑点、田虫、水虫、フケ等々であって、先ず喀痰、鼻汁、汗、濁尿等の排泄作用が感冒であり、下痢や痔出血等は全身毒素が腹部へ集り、肛門から、排泄されるのである。又膿汁毒血等は腫物によって排泄され、各種の毒血は天然痘、麻疹、猖紅熱、発疹チブス、疥癬等によって、皮膚面から排泄され、其の他の毒素はそれぞれ種々の形によって排泄されるのであるから、病気とは換言すれば、人体の清掃作用である以上、清掃された結果は、血液が清浄化するから、健康は増すのである。其の為血行の循環はよくなり、殺菌力は強化され、体力強靭となるから罹病し難くなり、精神的には、爽快感の持主となり、楽天的となるのである。之に反し、常に感冒に罹りやすく絶えず不快で根気無く、怒り易く憂鬱で神経衰弱や結核に罹り易いのは、濁血が原因であるのは言うまでもない。そうして凡ゆる病気の中でも最も簡単にして健康上効果顕著なのは、感冒に越したものはないのである。従って出来るだけ感冒に罹るようにするのが最もよいのであるから、常に感冒に罹るよう心掛ければ結核及び神経衰弱などに犯される事は無いといってもいいのである。

  然るに、此の理を知らない医学は凡そ反対の解釈であるから如何に誤っているかが判るのである。何よりも今日医学は進歩せりと言い乍ら、実際的効果は甚だ疑問である。寧ろ進歩すればする程、真の医道と遠ざかるばかりである。見よ、今日感冒の原因すら不明であり、結核の解決さえも如何に苦心しても思うようにならないというに見ても明らかである。

  右の理によって今日至極簡単な病気でさえも容易に治らないのは、逆療法によるからである。事実吾等からいえば、病気なるものは洵に容易に治るものである。それは神が与えた清掃作用である以上、不純物が或程度溜まれば人間自身が持っている良能力の活動が発生し治るからであってみれば、殆んどの病気は何等の手当てもせず自然に放任しておくだけで速やかに治癒するのである。

  処が何時の時代か判らないが前述の如く病気を逆の意味に解し成った医学である以上、如何程進歩したとても治るはずがない。それ処か反って、苦痛は増し生命にまで危険を及ぼすのであるから、実に恐るべきものとし、適当の手段を行わなければ安心出来ないという訳で、誤りを解決するのに誤りを以て発達したのが今日の医学である。とすれば、何と恐る可き愚法を続けて来たかと言えるのである。然も之が為、何百何千年間人類は如何に大いなる犠牲を払って来たであろう。それらを考える時、全く聖書にある禁断の果実とは医薬を言ったのではないかとさえ怪しまれるのである。

  然し乍ら喜ぶべし、愈々天の時至って、此の誤謬の真相を開明し病なき世界を出現させようとするのであるから、近き将来すべて人間の寿命は百才以上は可能となり、且つ無毒者が殖えるに従って、病無く貧なく争いを好まない人間が増える訳で、吾々のモットーである地上天国の実現は近づきつつありと確信するのである。其の最も基本的条件は人間から病を除去する一事で、其の為の主要なる点は医学の是正でなくてはならないと共に、茲に始めて一切の誤謬は解決し地上天国は成立するのである。